男性は女性に比べて健康診断の受診率が低く、病気の発見が遅れがちという傾向があります。
しかし、男性にも前立腺がんや男性更年期障害、心筋梗塞など、男性特有または男性に多い疾患があり、早期発見が重要です。
「メンズドック」は、男性の健康課題に特化した専門的な健康診断です。
本記事では、メンズドックの検査内容や費用、受けるべきタイミングについて詳しく解説します。
目次
メンズドックとは
メンズドックは、男性特有の疾患や男性に多い病気を早期発見するための総合的な健康診断です。
通常の人間ドックの検査項目に加えて、前立腺検査(PSA検査、前立腺エコー)、男性ホルモン検査(テストステロン)、心血管疾患リスク評価(LOX-index、頸動脈エコーなど)が含まれます。
男性は心臓病や脳卒中のリスクが女性より高いため、動脈硬化関連の検査が充実していることが特徴です。
メンズドックの主な検査内容
PSA検査
PSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌されるタンパク質で、前立腺がんがあると血中濃度が上昇します。
前立腺がんのスクリーニングに最も有効な血液検査であり、50歳以上の男性には定期的な検査が推奨されています。
基準値は一般的に4.0ng/mL以下とされていますが、年齢によって基準値が異なる場合もあります。
前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇することがあるため、高値の場合は精密検査が必要です。
前立腺エコー検査
超音波を使って前立腺の大きさや形状を観察する検査です。
経直腸エコー(肛門から超音波プローブを挿入する方法)と経腹エコー(腹部から観察する方法)があります。
前立腺肥大の程度や前立腺がんが疑われる所見を確認できます。
テストステロン検査
男性ホルモンであるテストステロンの血中濃度を測定する検査です。
テストステロンは加齢とともに減少し、40歳以降は年間約1〜2%ずつ低下します。
著しく低下すると、男性更年期障害(LOH症候群)の原因となり、倦怠感、筋力低下、性欲減退、うつ症状などを引き起こします。
遊離テストステロン値が8.5pg/mL未満の場合、男性更年期障害の可能性が考えられます。
LOX-index検査
動脈硬化に関連する物質を測定し、将来の脳梗塞や心筋梗塞のリスクを予測する血液検査です。
従来のコレステロール値や血圧では評価できない「血管内の炎症」を反映するため、より早期のリスク評価が可能です。
男性は女性よりも心血管疾患のリスクが高いため、メンズドックでこの検査が含まれることが多いです。
頸動脈エコー検査
首にある頸動脈の壁の厚さ(IMT)やプラークの有無を超音波で観察します。
全身の動脈硬化の指標となるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスク評価に有用です。
血管年齢を算出することもできます。
心臓関連検査
心電図、NT-proBNP(心不全マーカー)、ABI/PWV(動脈硬化検査)などの心臓・血管関連検査が含まれることがあります。
冠動脈CTをオプションとして追加できる施設もあり、心筋梗塞リスクの詳細な評価が可能です。
腹部エコー・内臓脂肪CT
腹部の臓器(肝臓、胆のう、膵臓、腎臓など)を超音波で観察するとともに、内臓脂肪の量をCTで測定します。
メタボリックシンドロームのリスク評価に有用で、生活習慣病の予防指導に活用されます。
年代別おすすめ検査項目
| 年代 | 推奨される検査 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 30代 | 基本的な人間ドック、生活習慣病検査 | メタボ予防、生活習慣の見直し |
| 40代 | 上記+テストステロン検査、LOX-index | 男性更年期の兆候、動脈硬化リスク上昇 |
| 50代 | 上記+PSA検査、前立腺エコー | 前立腺がんの好発年齢、心血管リスク管理 |
| 60代以降 | 全項目+心臓ドック、脳ドック検討 | がん・心血管疾患・脳卒中の総合スクリーニング |
メンズドックを受けるべき人
以下に該当する男性は、メンズドックの受診を積極的に検討してください。
50歳以上の男性
前立腺がんの発症リスクは50歳を境に急増します。
前立腺がんは初期には症状がほとんどないため、PSA検査による早期発見が非常に重要です。
また、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まるため、総合的な健康チェックが必要です。
前立腺がんの家族歴がある男性
父親や兄弟に前立腺がんを発症した方がいる場合、発症リスクは約2〜3倍に上昇します。
家族歴がある場合は、40歳からPSA検査を受けることが推奨されています。
男性更年期症状がある男性
疲れやすい、やる気が出ない、イライラする、性欲が低下した、ED(勃起不全)があるなどの症状がある場合は、テストステロン検査で男性更年期障害の可能性を調べることができます。
適切な治療(テストステロン補充療法など)につなげることで、QOL(生活の質)の改善が期待できます。
生活習慣病がある男性
高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病がある方は、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。
LOX-index検査や頸動脈エコーで、より詳細なリスク評価を受けることをおすすめします。
喫煙者
喫煙は動脈硬化を促進し、心筋梗塞、脳卒中、肺がんなど多くの疾患のリスクを高めます。
喫煙歴のある男性は、メンズドックに加えて肺ドックも検討しましょう。
メンズドックの費用
メンズドックは自費診療となります。
PSA検査とテストステロン検査を含む基本コースで30,000〜50,000円程度が相場です。
LOX-index検査、頸動脈エコー、内臓脂肪CTなどを追加した充実コースでは60,000〜100,000円程度になることが多いです。
冠動脈CTや脳MRIを含む総合的なメンズドックでは、15万円を超える場合もあります。
健康保険組合の補助制度を活用できる場合もあるため、事前に確認しましょう。
メンズドックを受ける際の注意点
PSA検査前の注意
PSA値は前立腺への刺激(自転車やバイクの長時間乗車、性行為など)で一時的に上昇することがあります。
正確な結果を得るために、検査の2〜3日前からはこれらを控えましょう。
経直腸エコーについて
前立腺エコーで経直腸法を行う場合、肛門からプローブを挿入します。
多少の違和感はありますが、痛みは少なく検査時間も短いです。
抵抗がある場合は、経腹エコーのみでも対応可能か事前に確認しましょう。
テストステロン検査のタイミング
テストステロン値は朝が最も高く、午後には低下する傾向があります。
正確な評価のために、午前中(特に9〜11時頃)の採血が推奨されます。
まとめ
メンズドックは、男性特有の疾患を早期に発見するための重要な健診です。
PSA検査で前立腺がんを、テストステロン検査で男性更年期障害を、LOX-index検査で心血管リスクを評価します。
50歳以上の男性、前立腺がんの家族歴がある方、男性更年期症状がある方は、積極的にメンズドックを検討してください。
男性こそ定期的な健診で、自分の健康を守りましょう。










