人間ドックの中でも、脳ドックと聞くと少し抵抗がある人も多いのではないでしょうか?日頃脳を検査する機会がないことや、検査のイメージがつかみにくいので怖いですよね..
今回は、脳ドックでわかること、そして脳ドックの費用や受けるメリットやデメリットについて詳しく解説していきます!
目次
脳ドックの方法は?
脳ドックは主に自覚症状のない脳の病気の早期発見を目的とした検査になります。
脳ドックでは、以下のような検査が行われます。
MRI(磁気共鳴画像法)
脳の構造や血流などを詳細に観察することができます。脳梗塞や脳腫瘍などを調べるときに有効と言われています。
MRA(磁気共鳴血管撮影)
MRIと同時に行われるものです。脳の血管を撮影することで、脳動脈の狭窄や動脈瘤などを発見するときに有効です。
頸動脈エコー
超音波を使って、首の血管を映し出す検査です。脳梗塞につながりやすい頸動脈の動脈硬化の兆候を調べることができます。
脳ドックでわかることは?
脳ドックでわかることは、脳の状態や健康に関する情報です。以下に詳しく説明します。
脳の構造や病変の有無
MRIやCTなどの画像検査により、脳の構造や病変(腫瘍、出血、脳梗塞など)の有無を確認することができます。これにより、早期に脳疾患を発見することができます。
脳の血流や循環の状態
脳血管検査や脳血流量測定などにより、脳の血流や循環の状態を評価することができます。これにより、脳卒中や認知症の危険因子の評価や、血管疾患の早期発見が可能となります。
脳の電気的活動
脳波検査により、脳の電気的活動を記録することができます。これにより、脳の状態や機能(認知機能、感覚機能、運動機能など)の評価が可能となり、認知症の診断や治療に役立ちます。
脳神経の機能
脳神経機能検査により、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚などの脳神経の機能を評価することができます。これにより、神経疾患の早期発見や治療に役立ちます。
以上のように、脳ドックでは脳に関する様々な情報を得ることができます。これらの情報は、脳疾患の早期発見や予防、治療のために重要な役割を果たします。
脳ドックでわかる病気とは?
脳ドックの検査所見でわかることは主に次のようなものです。
無症候性脳梗塞
過去に脳梗塞を起こしたことがなく、症状もない人が、脳ドックのMRIによって脳梗塞が発見されることがあります。
原因は、脳の奥の細い血管がつまるラクナ梗塞と言われています。
このラクナ梗塞は、高齢者や高血圧のある人に多く見られます。脳卒中の発症の危険因子の一つとされていて、ラクナ梗塞がたくさん起こると脳血管性認知症につながる可能性があると言われています。
大脳白質病変
ラクナ梗塞と同様に、脳の細い血管が動脈硬化によってつまることが原因といわれています。
大脳白質病変は、神経線維の障害によって、神経情報の伝達が妨げられ、脳の機能障害を引き起こす可能性があります。
大脳白質病変は、高齢者に多く見られ、脳血管疾患やアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患に伴って発生することがあります。症状は、記憶力の低下、認知機能の障害、歩行困難、失禁などがあります。
無症候性脳出血
無症候性脳出血とは、脳内に小さな出血があるにもかかわらず、症状が現れない状態を指します。つまり、偶然の検査(脳ドックやMRI検査など)で発見されることが多い病態です。
無症候性脳出血は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、運動不足などの生活習慣病や加齢によって、血管が病的に変化してしまうことが原因とされています。また、脳卒中や脳出血を経験した人、家族歴がある人など、リスクファクターが多い人にも起こりやすいとされています。
無症候性脳出血は、症状が現れないため、自覚症状がなく見過ごされることがあります。しかし、病態が進行すると脳梗塞や脳出血を引き起こすリスクが高まるため、注意が必要です。
脳腫瘍
下垂体腫瘍や髄膜腫などが脳ドックで見つかることがあります。しかしながら、すぐに手術が必要となるような悪性度が高い腫瘍が見つかることは稀です。
未破裂脳動脈瘤
脳の動脈にできたこぶのような膨らみを動脈瘤といい、その破裂していない状態のものを未破裂脳動脈瘤と言います。
破裂すると、脳出血やくも膜下出血を引き起こす危険性があります。
未破裂脳動脈瘤の症状はなく、発見は偶然のことが多いため、一般的には定期的な検査を行っている人や、脳卒中や頭部外傷などの症状がある人が偶然発見することがあります。
発見後は、脳卒中やくも膜下出血を引き起こす可能性があるため、脳神経外科医による評価が必要です。
無症候性動脈狭窄・閉塞
頸動脈や脳の太い動脈が狭くなってしまい、その部位が見つかった状態のことをいいます。
無症候性動脈狭窄の主な原因は、アテローム性動脈硬化症と呼ばれる病気で、血管内に脂肪やコレステロールがたまって、血管内膜が厚くなり、狭くなってしまうことが原因とされています。
また、高血圧や糖尿病なども動脈硬化を進行させ、動脈狭窄の原因となることがあります。
50%の狭窄があっても、脳梗塞に直結する例は少ないですが心筋梗塞や末梢動脈疾患などといった動脈硬化性疾患にも注意が必要です。
脳ドックの費用の目安は?
脳ドックは一般的に2~5万円ほどの費用がかかると言われています。
40歳を越えると脳卒中のリスクが徐々に上がるため、40代の方でまだ脳ドックを受けたことが無い人は注意が必要です。
特に高血圧や喫煙習慣、飲酒習慣、生活習慣に心配のある人はリスクがさらに高いため、脳ドックを受けるといいと言われています。
脳ドックは、健康状態で行う予防的な検査になるため、保険診療は適用外で全額自費負担の自由診療となります。事前にどのくらいの費用がかかるか調べたほうが良いでしょう。
脳ドックのメリット・デメリットとは?
脳ドックを受けるメリットは、主に脳の動脈硬化の状況がわかること、そして検査の結果によって予防が出来ることです。
また、先述した通り、無症候性脳梗塞や未破裂脳動脈瘤など、自覚症状がない脳にできる様々な疾患を早期発見することが出来ます。
脳ドックは、脳卒中をはじめとする脳の病気になる危険な兆候を見つけられる為、重症化しないうちに医師のもとで治療を進められます。
デメリットは、自由診療となるため費用が高額になってしまうことが多いという点です。
日頃から喫煙や飲酒、年齢的に40歳を超えた方については一度脳ドックを受けるとよいかもしれません。