「足の指の間がかゆい」「爪が白く濁ってきた」――水虫(白癬)は日本人の約5人に1人が罹患していると言われる非常にポピュラーな感染症です。しかし「たかが水虫」と放置すると、爪水虫に進行したり家族へ感染が広がったりするリスクがあります。この記事では、水虫の種類・症状・原因から、皮膚科での治療薬・市販薬の使い方、爪水虫の飲み薬、感染を広げないための予防策までわかりやすく解説します。
目次
水虫とはどんな病気?白癬菌が原因
水虫は、白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビの一種)が皮膚や爪に感染することで起こる皮膚感染症です。医学的には「足白癬」または「爪白癬」と呼ばれます。
白癬菌は高温多湿を好み、梅雨から夏にかけて感染が増えます。銭湯・プール・スポーツジムなどの共用施設の床に菌が落ちており、素足で歩いた際に足の裏に付着して感染します。ただし、菌が付着しても24時間以内に足をきれいに洗えば感染を防げる場合があります。蒸れやすい靴の中での長時間滞在や、免疫力の低下が発症を助長します。
水虫の種類と症状を正しく知ろう
水虫は感染部位や症状によって複数の種類があります。代表的なものを以下に紹介します。
趾間型(しかんがた)
最も多いタイプです。足の指の間、とくに薬指と小指の間が白くふやけてジクジクしたり、皮がむけたりします。かゆみが強く、重症化すると赤くただれて痛みを伴います。湿った環境が好む白癬菌が繁殖しやすいため、通気性の悪い靴下・靴を履く人に多く見られます。
小水疱型(しょうすいほうがた)
土踏まず・足の縁・指の根元などに小さな水ぶくれ(水疱)が集まってでき、破れると皮がむけます。強いかゆみを伴うことが多く、夏場に悪化しやすいのが特徴です。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
かかとを中心に、足の裏全体の皮膚が乾燥・肥厚してひび割れを起こすタイプです。かゆみはほとんどなく、「単なる乾燥肌」と思い込んで放置してしまうケースが多くあります。治療に時間がかかるため、早期受診が重要です。
爪白癬(爪水虫)
白癬菌が爪に感染した状態です。爪が白や黄色に濁り、厚く変形してもろくなります。かゆみがないため気づきにくく、足の皮膚の水虫から波及して起こることがほとんどです。爪水虫は外用薬だけでは治りにくく、飲み薬(内服抗真菌薬)が必要になるケースが多いです。
水虫の治療:外用薬と内服薬の使い分け
水虫の治療の基本は抗真菌薬(抗真菌成分を含む薬)の継続使用です。症状が消えても菌が残っている場合があるため、医師の指示に従って治療を続けることが完治のポイントです。
外用薬(塗り薬)
皮膚の水虫(趾間型・小水疱型・角質増殖型)には、テルビナフィン・ルリコナゾール・エフィナコナゾールなどの抗真菌成分を含む外用薬を使います。症状が消えた後も最低1〜3か月は継続して塗り続けることが推奨されています。自己判断で途中でやめると再発の原因になります。爪白癬には爪に浸透しやすい専用の外用薬(エフィナコナゾール爪外用液、ルリコナゾール爪外用液)もあり、「皮膚真菌症診療ガイドライン」で推奨されています。
内服薬(飲み薬)
爪水虫に対しては、イトラコナゾール(イトリゾール)やテルビナフィン(ラミシール)といった経口抗真菌薬が使われます。テルビナフィンは1日1回3か月間内服すると、1年後の完全治癒率が約59%、有効率(改善含む)が約94%と高い効果が報告されています。肝臓への影響が出ることがあるため、定期的な血液検査が必要です。
市販薬について
足の皮膚の水虫には、薬局で購入できる市販の抗真菌薬(テルビナフィン・クロトリマゾール等を含むクリームや液体)が有効です。ただし、爪水虫に対して効能が認められた市販薬は2025年時点で存在しません。爪が関係している場合は、必ず皮膚科を受診して処方薬を使用してください。
水虫はうつる?家族への感染を防ぐ方法
白癬菌は感染した皮膚からはがれ落ちた鱗屑(りんせつ)を通じて広がります。タオル・スリッパ・バスマットの共用は感染リスクを高めるため、家族と別にするのが基本です。風呂上がりは足の指の間まで丁寧に洗い、しっかり乾燥させる習慣をつけましょう。フローリングや畳は定期的に掃除・乾燥させ、靴は1日履いたら休ませて蒸れを防ぎます。家族の中に水虫の人がいる場合は、全員でチェックを受けることも検討してください。
何科を受診すればいい?
水虫の疑いがある場合は皮膚科を受診してください。皮膚科では、患部の皮膚を少量採取して顕微鏡で白癬菌の有無を確認する「皮膚真菌検査」を行います。この検査で確定診断をつけてから適切な薬が処方されます。市販薬を使っても改善しない場合や、爪の変色・変形がある場合は早めに受診することを強くお勧めします。
まとめ
水虫は白癬菌による感染症であり、種類によって症状も治療法も異なります。皮膚の水虫は外用抗真菌薬の継続使用で多くが改善しますが、爪水虫には内服薬が必要で治療期間も長くなります。市販薬では爪水虫の治療はできないため、爪の変化に気づいたら皮膚科を受診してください。日常的に足の清潔・乾燥を保ち、タオルやスリッパの共用を避けることで、家族への感染も予防できます。「もう治った」と自己判断せず、医師の指導のもとで最後まで治療を続けることが完治への近道です。










