脂質異常症で現れる黄色腫とは?コレステロール・中性脂肪との関係を徹底解説

「皮膚に黄色っぽいできものができた」それ、もしかすると黄色腫かもしれません。

脂質異常症は「サイレントキラー」とも呼ばれるほど、自覚症状がほとんどありません。しかし、その兆候が皮膚に現れる場合があります。その一つが「黄色腫(おうしょくしゅ)」です。

この記事では、黄色腫とは何か、脂質異常症との関係、危険性、治療法や予防策についてわかりやすく解説します。健康診断でコレステロールや中性脂肪が高いと指摘された方は、ぜひ参考にしてください。

黄色腫とは?基本的な知識と読み方

黄色腫(読み方:おうしょくしゅ)は、コレステロールや中性脂肪などの脂質が皮膚の中に沈着してできる黄白色の隆起や斑点です。

これは単なる皮膚の異常ではなく、体内の脂質代謝異常(脂質異常症)のサインである場合が多く、見過ごすことはできません。

脂質異常症と黄色腫の関係性

脂質異常症とは、血液中の脂質(LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなど)が異常な値を示す状態を指します。

なぜ黄色腫ができるのか?

脂質異常症になると、血中の脂質が多くなりすぎ、それが血管内皮や皮膚組織に沈着することで黄色腫が形成されます。特に以下のような脂質の異常と関連があります。

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い

  • 中性脂肪(トリグリセライド)が高い

  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い

黄色腫は、これらの異常を放置した結果、脂質が皮膚に漏れ出すような形で現れる警告サインといえるのです。

黄色腫の種類とよく見られる部位

黄色腫にはいくつかの種類があり、形状やできる部位によって分類されます。

眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)

最も多いタイプで、目のまわり(特にまぶた)に黄白色の平らな斑点として現れます。中高年の女性に比較的多く見られます。

結節性黄色腫

肘、膝、手の甲、臀部などにできやすく、丸みを帯びた硬めのしこりのような形状です。トリグリセライド(中性脂肪)が非常に高い場合に出現することが多いです。

腱黄色腫(けんおうしょくしゅ)

アキレス腱や手指の関節部に出現し、腱が厚くなったように見えるのが特徴です。家族性高コレステロール血症(FH)の重要な診断指標となることもあります。

黄色腫が示すリスク:動脈硬化との関連

黄色腫は皮膚の異常に見えますが、実は全身の血管にも同様の脂質沈着が起きている可能性を示唆する重要なサインです。

その代表的なリスクが「動脈硬化」です。動脈の内壁に脂質がたまると、血管が狭く硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の引き金になることがあります。

特に腱黄色腫や結節性黄色腫は、脂質異常症の重症化を反映している場合があるため、早急な医療介入が必要です。

治療と対策:黄色腫ができたらどうすればいい?

黄色腫ができた場合、まず行うべきは血液検査による脂質異常症の評価です。根本的な治療は「脂質値のコントロール」にあります。

脂質異常症の治療法

  • 食事療法:飽和脂肪酸を減らし、野菜・魚・豆類中心の食事へ切り替える

  • 運動療法:ウォーキングなどの有酸素運動を週3回以上継続する

  • 薬物療法:スタチン、フィブラート、EPA製剤などが使用される

これらを継続することで、黄色腫が自然に小さくなったり消失することもあります

美容的な除去

黄色腫自体を見た目の問題として取り除きたい場合は、レーザー治療や切除が行われることもありますが、再発の可能性が高いため、まずは脂質管理が優先です。

黄色腫は「体の中の異常」のサイン

黄色腫は、単なる皮膚のトラブルではなく、脂質異常症という生活習慣病の兆候として見逃せない重要な症状です。

特にLDLコレステロールや中性脂肪が高いときには、皮膚の変化を見逃さずに早めの受診・検査をおすすめします。

早期の発見と治療によって、動脈硬化や心血管疾患の予防にもつながります。定期的な健康診断と、バランスの取れた生活習慣を意識して、自分の体と向き合いましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

20代のとき父親が糖尿病の診断を受け、日々の生活習慣からこんなにも深刻な状態になってしまうのかという経験を経て、人間ドックや健康診断を猛勉強。 数々の書籍などからわかりやすく、手軽に病気の予防に活用してほしいとの思いで「からだマガジン」を運営しています。