腫瘍マーカーPSAとは?基準値や数値の目安、上昇の原因と考えられる病気

人間ドックをうけるとき、腫瘍マーカーの一つとして「PSA」というものがあります。ただ、この腫瘍マーカーで一体どんなことがわかるのでしょうか。

今回は、腫瘍マーカーのPSAについて、PSAとはそもそもどんな腫瘍マーカーなのか、PSAの基準値や正常値、PSAが上昇している原因や考えられる病気について詳しく解説していきます。

腫瘍マーカーのPSAとは?

PSA(Prostate-Specific Antigen)は、前立腺特異抗原と呼ばれるタンパク質で、前立腺から分泌される酵素の一種です。

主に精液の液状化を助ける役割を果たしていますが、少量が血液中にも存在します。

PSAは前立腺がんの診断や治療の効果をモニタリングするための重要な腫瘍マーカーです

また、前立腺肥大や前立腺炎など、前立腺に関連するさまざまな疾患の診断にも使用されます。

PSAの基準値は?

PSAの基準値は年齢や個人差によって異なりますが、一般的には次のように設定されています。

  • 64歳以下:3.0 ng/mL
  • 65歳~69歳:3.5 ng/mL
  • 70歳以上:4.0 ng/mL

これらの基準値を超えるPSA値が検出された場合、さらなる検査が必要となります。

特にPSA値が急激に上昇している場合や、値が異常に高い場合は、前立腺がんの可能性を疑い、詳細な診断が行われます。

一度前立腺生検を受けた方では、年に2回程度のPSA追跡が一般的です。

PSA値が高いからといってすぐに前立腺がんと診断されるわけではなく、特に慢性前立腺炎などでPSAの偽陽性が出ることもあります。

PSAが10ng/mlに達した場合、前立腺がんである可能性は約50%とされていますが、PSA値が一定範囲内に留まっていれば、前立腺がんのリスクは低いと考えられます。

PSAが高いときの原因は?

PSAが高くなる原因は、前立腺がんだけに限りません。

いくつかの良性疾患や生理的な要因もPSA値を上昇させることがあります。以下に、PSAが高くなる主な原因を挙げます。

1. 前立腺がん

前立腺がんは、前立腺の細胞が異常に増殖する悪性腫瘍です。

PSA値が高い場合、前立腺がんの可能性が疑われますが、確定診断には生検などの追加検査が必要です。

2. 前立腺肥大

良性前立腺肥大(BPH)は、加齢に伴う前立腺の非がん性の増殖です。

BPHもPSA値を上昇させる原因となります。

3. 前立腺炎

前立腺炎は、前立腺の炎症であり、細菌感染や他の要因によって引き起こされることがあります。

前立腺炎もPSA値を上昇させることがあります。

4. 尿路感染症

尿路感染症(UTI)は、尿路系の感染症であり、前立腺に影響を及ぼす場合があります。

この感染症もPSA値を一時的に上昇させることがあります。

5. 生理的要因

射精、前立腺マッサージ、サイクリングなど、前立腺を刺激する行為も一時的にPSA値を上昇させることがあります。

PSAが上昇しているとき、どんな病気の可能性がある?

PSAが上昇している場合に考えられる病気や状態について、以下に詳しく説明します。

1. 前立腺がん

PSA値が高い場合、まず前立腺がんの可能性が考慮されます。前立腺がんは、早期発見と早期治療が重要であり、PSA検査はその一環として広く利用されています。

2. 良性前立腺肥大(BPH)

BPHは、前立腺が非がん性に増大する状態で、尿道の圧迫による排尿困難などの症状を引き起こします。BPHもPSA値を上昇させるため、PSA検査結果の解釈には注意が必要です。

3. 前立腺炎

前立腺炎は、急性または慢性の前立腺の炎症であり、痛みや排尿困難、発熱などの症状を伴うことがあります。前立腺炎もPSA値を上昇させる要因です。

4. 尿路感染症

尿路感染症は、前立腺に波及することがあり、その結果、PSA値が上昇することがあります。UTIの治療後、PSA値が正常に戻ることが期待されます。

PSAを正常値に戻すためにできることは?

PSA値が上昇している場合、その原因に応じた対策を講じることでPSA値を正常範囲に戻すことが可能です。

以下に、PSA値を正常に戻すためにできることをいくつか挙げます。

1. 医師の診断と治療

PSA値が高い場合、まずは医師の診断を受けることが重要です。前立腺がんや前立腺肥大、前立腺炎などの診断が確定した場合、適切な治療を受けることがPSA値を正常に戻すための第一歩です。

2. 抗生物質治療

前立腺炎や尿路感染症が原因でPSA値が上昇している場合、抗生物質による治療が行われます。感染が治癒するとともにPSA値も正常に戻ることが期待されます。

3. 前立腺肥大の治療

BPHによるPSA値の上昇には、薬物療法や外科的治療が有効です。薬物療法には、アルファブロッカーや5α還元酵素阻害剤などがあります。

4. 定期的なモニタリング

一部の患者では、PSA値の定期的なモニタリングが推奨されることがあります。特に、前立腺がんのリスクが高い場合や過去に前立腺がんの治療を受けた場合、定期的なPSA検査による経過観察が重要です。

5. 生活習慣の改善

喫煙や肥満、運動不足などの生活習慣は、前立腺の健康に影響を与える可能性があります。健康的な食生活や適度な運動、禁煙などの生活習慣の改善が、前立腺の健康維持に寄与することがあります。

6. 前立腺刺激の回避

射精や前立腺マッサージ、サイクリングなど、前立腺を刺激する行為を控えることで、一時的なPSA値の上昇を防ぐことができます。

さいごに

PSAは前立腺の健康状態を評価するための重要な腫瘍マーカーであり、前立腺がんを含むさまざまな前立腺疾患の診断や治療効果のモニタリングに使用されます。

PSA値が高い場合、その原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。

医師の診断を受け、必要な治療を行いながら、生活習慣の改善や定期的なモニタリングを通じて、前立腺の健康を維持することが求められます。


色々とカラダのことを調べてわかったのは、結局普段からの「健康診断」が本当に大切だということです。

私の父も糖尿病の診断を受けるまで全く健康診断をしていませんでした。手軽にしっかりとした検査をすることで、深刻な病状になる前に予防することができるのでおすすめです。