副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療|慢性・急性の違い・鼻うがい・手術まで解説

鼻づまり・黄色い鼻水・頭痛・顔面の圧迫感——これらが2〜3週間以上続いているなら、副鼻腔炎(俗に言う「蓄膿症」)の可能性があります。副鼻腔炎は日本人に非常に多い疾患で、年間を通じて耳鼻咽喉科を受診する主要な疾患の一つです。急性であれば適切な抗生剤治療で比較的短期間に改善しますが、慢性化すると長期的な管理が必要になります。この記事では副鼻腔炎の種類・症状・原因・治療法から、近年増加している好酸球性副鼻腔炎まで幅広く解説します。

副鼻腔とは——場所と構造

副鼻腔は鼻腔を取り囲む頭蓋骨内の空洞群です。上顎洞(頬の内側)・篩骨洞(目と鼻の間)・前頭洞(額の内側)・蝶形骨洞(頭の奥)の4対から成り、薄い粘膜に覆われています。これらは細い孔(自然口)を通じて鼻腔と繋がっており、ここが炎症や腫れで塞がると副鼻腔内に分泌物が溜まり、副鼻腔炎を発症します。

急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の違い

急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎は多くの場合、風邪(ウイルス性上気道炎)に続いて発症します。症状は急に現れ、黄〜緑色の膿性鼻水・鼻づまり・頬や額の圧迫感・頭痛・発熱・嗅覚低下が特徴です。前かがみになると頭・顔が痛む場合は上顎洞炎の典型的なサインです。通常4週間未満で回復しますが、適切に治療しないと慢性化します。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

症状が12週間以上続くものを慢性副鼻腔炎と定義します。急性副鼻腔炎の繰り返し・アレルギー性鼻炎・鼻中隔弯曲・鼻ポリープなどが慢性化の要因です。慢性期は膿性鼻水・鼻後漏(鼻汁が喉へ流れ込む症状)・鼻づまり・嗅覚障害・慢性的な頭重感が持続します。急性期ほど激しい症状ではないため「ずっとこういうもの」と見過ごされやすいです。

好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎は近年増加している難治性の副鼻腔炎で、両側の鼻ポリープ(鼻茸)を形成し嗅覚障害が著しいのが特徴です。気管支喘息・アスピリン不耐症を合併することが多く、通常の抗生剤治療が無効です。2015年に指定難病となり、生物学的製剤(デュピルマブ)が保険適用となっています。

副鼻腔炎の原因

最も多い原因は風邪ウイルスによる鼻粘膜炎症からの二次細菌感染です。原因菌は肺炎球菌・インフルエンザ菌・モラクセラ菌が多いです。アレルギー性鼻炎(花粉症・ハウスダストアレルギー)も副鼻腔炎のリスクを高めます。また虫歯・歯周病(特に上顎の奥歯)が上顎洞へ波及して起こる「歯性上顎洞炎」もあり、耳鼻科と歯科の連携が必要です。

診断と検査

耳鼻咽喉科では鼻腔内視鏡(ファイバースコープ)で副鼻腔の入口を観察します。X線(副鼻腔レントゲン)で上顎洞の陰影を確認し、CT検査でより詳細に病変の範囲・鼻中隔弯曲・ポリープの有無を評価します。好酸球性副鼻腔炎の確定診断には血液中の好酸球数・組織生検が参考になります。

治療法

急性副鼻腔炎の治療

急性副鼻腔炎の多くはウイルス性であり、軽症では抗生剤不要で鎮痛薬・去痰薬・鼻洗浄で経過観察できます。細菌感染が疑われる場合(高熱・膿性鼻水・症状が悪化している)はアモキシシリン(アモキシシリン/クラブラン酸)が第一選択です。5〜10日間の投与で改善します。

慢性副鼻腔炎の薬物療法

慢性副鼻腔炎には少量長期投与のマクロライド系抗生剤(クラリスロマイシン)療法が有効です。通常用量の半量を3か月程度継続することで、抗菌作用より抗炎症・粘液溶解作用を期待します。鼻噴霧用ステロイド薬は鼻粘膜の炎症を継続的に抑え、ポリープの縮小にも効果があります。鼻うがい(生理食塩水による鼻腔洗浄)は鼻腔内の分泌物・アレルゲン・細菌を物理的に除去し、薬の効果を高めます。

手術療法——内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)

薬物療法で改善しない慢性副鼻腔炎・鼻ポリープ・好酸球性副鼻腔炎には手術が検討されます。現在の標準術式は内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)で、細い内視鏡を鼻腔から挿入し、病変を除去・副鼻腔の換気を改善します。顔への外切開が不要で入院期間は3〜5日程度です。好酸球性副鼻腔炎は手術後も再発しやすく、術後の薬物療法継続が重要です。

鼻うがいの正しい方法

鼻うがいは市販の鼻腔洗浄器(ニールメッド、ハナノアなど)または500mLの微温湯に食塩4.5g(約0.9%生理食塩水)を溶かしたものを使います。首を横に傾け、片方の鼻から洗浄液を入れてもう片方から出します。終わったら強く鼻をかまず、静かに出すのがコツです。1日1〜2回行うと症状の改善に役立ちます。

日常生活での予防と注意点

風邪の予防(手洗い・うがい)がそのまま急性副鼻腔炎の予防になります。アレルギー性鼻炎がある場合はしっかりと管理することで副鼻腔炎のリスクが低下します。室内の加湿(湿度50〜60%維持)は鼻粘膜のバリア機能を守ります。喫煙は粘液線毛機能を障害し副鼻腔炎を悪化させるため禁煙が必須です。

まとめ

副鼻腔炎は「鼻水・鼻づまりが長引く」だけでなく、嗅覚障害・頭重感・慢性疲労にも影響する疾患です。2週間以上症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。急性であれば適切な治療で比較的短期間に完治しますが、慢性化した場合は根気強い治療が必要です。好酸球性副鼻腔炎など難治性の場合も生物学的製剤という新しい治療法があります。鼻うがいなどのセルフケアを日常に取り入れながら、専門医と連携して対処することが大切です。